第4回 ピーナッツ・ホリディ(日劇)

バカンスだよ! ザ・ピーナッツ 昭和38年6月4日〜10日

日劇のザ・ピーナッツに期待するもの     いソノてルヲ

 それはまだピーナッツと言うとすべての人が南京豆を想い超す時であった。
今ならピーナッツというと、可愛いい双生児のコーラス・グループを想い起すし、
洒落れて定冠詞をつけて〃ザ・ピーナッツ〃と言えば、南京豆を想い起す人は
居るまい。
 それは、あたかもアメリカにおける〃サッチエル・マウス、略してサッチモが、
誰にもルイ・アームストロングを想い超させるようなものだ。
 サッチエル・マウスとは本来は蟇口のことである。だが、サッチエル・マウスとい
うと本来の商品名より、彼ルイ・アームストロングはより強いイメージを支えている。
 ザ・ピーナッツが誕生した時、正しくいえば、まだザ・ピーナッツになる直前、
私は東宝の山本紫郎氏と渡辺プロの渡辺晋氏と一緒に彼女達のすばらしい唄を聞いた
ものである。
 たまたま、銀座のジャズ喫茶”美松”にオーディションを兼ねて出済した時、私は
平岡精二クインテットと一緒に彼女達とステージを共にした。
 間もなく、伊藤エミ、ユミという可愛い名前が生れ(本名は日出代と月子、したが
って本人達は”ヒデチャン””ツキチャン”と呼び合っている)ザ・ピーナッツなる
ステージ・ネームがスポットをあびるようになった。
 双生児独自の肉体的な協調性はもとより、鋭い音楽感覚と、真面目な勉強によって
彼女達は栄光の道を歩んだ。
 彼女達のすくすくと伸びた理由として、第一にコーチが良かった事をあげたい。
 巨人軍の王選手が荒川コーチの指導によって開眼した如く、ピーナッツにはジャズ
メン達が喜んでコーチした。
 何人かのジャズメン達、それはまだ彼女蓮が名古屋の乾物屋の素人娘だった頃から
そういう環境があった。
 二人の唄の素質を見出し、はげまし、オタマジャクシを教えた何人かのジャズメン
がいたのである。彼女達は誰からも好かれた。
 しかし、その中でもっとも大きくクローズ・アップされるべき人は、松宮庄一郎と
シックス・ジョーズのピアニストをつとめる宮川泰であろう。この大阪学芸大学特設
音楽科二年終了のジャズメンは、ピーナッツ育成に欠かせぬ人物であった。
 ザ・ピーナッツは軽音楽専門誌の人気役票で連続第一位をつづけている。それは、
彼女達の実力と人気が他をひきはなしているからだ。
 “ミュージック・ライフ”の3月号にその結果が出ている。これはザ・ピーナッツ
が表紙になったものだが、これを見るとコーラス部門は下記のようになっている。
(ベスト・テンのみ)
第一位 ザ・ピーナッツ     3443崇
第二位 スリー・ファンキーズ  3392〃
第三位 ダーク・ダックス    2931〃
第四位 パラダイス・キング   2889〃
第五位 デューク・エイセス   2684〃
第六位 リリオ・リズムエアーズ 2006〃
第七位 べニ・シスターズ    1945〃
第入位 マヒナ・スターズ    1877〃
第九位 スリー・グレイセス   1835〃
第十位 フォー・コインズ    1821〃
 これを見ても如何にザ・ピーナッツがすごい支持を受けているかがわかる。
 私は彼女達と約一年、毎朝十分聞のインタビユー番組を放送した。一週五本として
四週分位とるのだが、忙がしくても実にテキパキと仕事をした。
 故郷の名まH屡で〃ザ・ピーナッツ祭り〃があった時も司会をした。彼女達は大変
な喜び方で、このコンサートも大成功だった。
 それからしばらく彼女達におめにかからなかったが、昨年の四月新居落成を祝う
お誕生日のパーティに招かれた。
 その次は自由ケ丘の南風座(東宝の封切館)
でピーナッツの主演映画を見た時だ。彼女達は昔から舞妓さんが好きだったが、今度
宝塚映画で〃わてらの舞妓はん〃というのを撮ったそうで、スティールを見たが、舞
妓がロカビリイ歌手になるストーリイだ。全く楽しみである。この映画で二十一本目
というのだから、彼女蓮はアクトレスとしても一級品なのかも知れぬ。
 テレビの〃シャボン玉ホリディ〃は茶の間の人気をあつめ、キング・レコードは常
に良い企画で平均したヒットを飛ばしている。
 そんな彼女達ではあるが、どこのステージが一番張り切るかというとそれはデビュー
した日劇にちがいない。
 ザ・ピーナッツ・ショウは常に前進し、何か新しく意欲的なものを打ち出してゆく。
私はいつもそれを見て、あの上京したばかりの可愛い頃を思い出すのである。
(ジャズ評論家)

<キャスト>

ザ・ピーナッツ
   伊藤エミ
   伊藤ユミ
---------------
スリー・ファンキーズ
  長沢  純
  手塚しげお
  高倉 一志
梓   みちよ
田辺   靖雄
ほり まさゆき
内田   裕也
--------------
藤田  まこと
白木  みのる
--------------
ブルー・ジーンズ
--------------
ザ・タドポールズ

スマイリー小原と
  スカイ・ライナーズ

川戸 美代子
北秋  昇平
日劇ダンシングチーム
東宝混声合唱団
--------------
日劇オーケストラ
指揮:多 忠修

<スタッフ>
構成演出----北 川 信 造
振  付----ラウス・アペル
    ----金 須   宏
音  楽----宮 川   泰
装  置----田 辺 加奈子
衣  装----吉 村 倭 一
照  明----村 井 嘉兵衛
舞台監督----原 田 博 行
----------------------
制  作----池 田 豊 和
制作 補----鈴 木   勲

第一景 恋のバカンス
♪恋のバカンス  (ザ・ピーナッツ)
>>舞台挨拶
    藤田まこと
    白木みのる
レコードもいいが、恋のバカンスのステージ生演奏は超かっこいい。
スカイ・ライナーズはこういうのをやらせたら本邦最高のバンド!!
シャボン玉ホリデーの直前の番組はチャンネルは違っても
関西お笑いコンビのあの番組を見ている人が多かったはず。
だから、何となく違和感がないのが不思議....

第二景 青春のバカンス

♪夢であいましょう  (田辺 靖雄)
♪渚のデイト     (梓 みちよ)
♪ラブ        (スリー・ファンキーズ)

NHKの番組主題歌を歌ってしまう大らかな時代です。
渚のデイトはお馴染みのヒット・ポップス
ラブはシャボン玉のエンディングで良く使われました。
スリー・ファンキーズも慣れたものでしょう。
第三景 バカンスで歌おう
          
♪ブルー・カナリア  (ザ・ピーナッツ)
♪中国地方の子守唄  (ザ・ピーナッツ)
♪こっちを向いて   (ザ・ピーナッツ)
♪二人の高原     (ザ・ピーナッツ)

写真を撮られるのも撮るのも得意ではないインファントが
家にあった安物のカメラで、珍しく撮影したショットです。
望遠とかじゃなくて普通のレンズです。  ↓

(ブルー・カナリアを歌っています)

第四景 バカンス道中 <てなもんや三度笠より>
♪てなもんや三度笠  (歌:藤田まこと)
  あんかけ時次郎:藤田まこと
  珍念     :白木みのる
  娘      :伊藤エミ
  娘      :伊藤ユミ
  青年     :スリー・ファンキーズ
  捕手     :松島正弘
まさかピーナッツ・ホリデーで
「てなもんや三度笠」が見れるとは...(笑)
渡辺プロと藤田まことさん達の契約のおかげか。
第五景 6人でバカンス
♪スロー・ツイスト  (ザ・タドポールズ)
♪ヘイ・ポーラ    (田辺靖雄)
           (梓みちよ)
この舞台の頃はマイ・カップルと称さなかった。
第六景 マラゲニアでバカンス

♪マラゲニア  (ザ・ピーナッツ)
アイ・ジョージがよく歌う「ラ・マラゲーニア」とは別曲。
こちらは「そよ風と私」でも知られるエルネスト・レクオーナの
「アンダルシア組曲」の中の一曲。
ザ・ピーナッツと宮川さんは、このシンフォニックな名曲を
噛んで含めるような馴染みやすい音楽に変貌させ、おまけに
素晴らしく劇的でダンサブルで見応え聴き応えのある演奏を
繰り広げました。まさにこの公演の白眉。圧巻の出来栄え!!
第七景 バカンスだよスリー・ファンキーズ
♪心の届かぬラブレター(スリー・ファンキーズ)
♪愛しておくれ    (長沢  純)
♪青春の並木道    (手塚しげお)
♪ホイホイ馬子唄   (高倉 一志)
♪キャンティワインとピィズァとマカロニー
           (スリー・ファンキーズ)
人気面はどうあれ、高橋源太郎がいないのは致命的。
ソロでもコーラスでも歌唱力は期待薄。
思ったよりも客席は静かだった。
ピーナッツ・ファンの静聴ムードに遠慮したのか?

第八景 バカンスだよブルー・ジーンズ

♪ウォット・アイ・セイ(ザ・ピーナッツ)
♪モーリーさんごきげんよう
           (ほりまさゆき)
♪のっぽのサリー   (内田裕也)

わお! こんな激しいピーナッツ、初めて見聞きした。
ジーンズもよくお似合いで。迫力あります。
これはもう、ウエスタン・カーニバル風であります。
が..客席は唖然としておりまして.....あはは...

第九景 バカンスだよザ・ピーナッツ

♪マック・ザ・ナイフ  (田辺靖雄)
♪ラスト・ダンスを私と (梓みちよ)
♪恋人は海の彼方に   (スリー・ファンキーズ)
♪シェリー       (ザ・ピーナッツ &
             ザ・タドポールズ)
♪チャオ        (ザ・ピーナッツ)

レコードでもお馴染みのナンバーばかりです。

チャオの演奏は凄かったゾ。

第十景 フィナーレ

出演者全員

クレージーとのショーの方がやっぱり、いいなあ〜。

スナップ(後援会会報などより)

この写真は翌年の公演のパンフレットのものですが、写されているのは今回の舞台です。↓

後援会会報の表紙に2号連続で公演の舞台写真が使われました。

私の観た日の映画上映は「続・社長外遊記」で、眠くなる映画でした。

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