CDで聴く「宮川泰さんの素敵な音楽世界」

    このアルバムを聴いていますと、いかに宮川先生がザ・ピーナッツにいい歌を
   贈ろうとしていたのかが実感として伝わってきます。
    ヒットしそうな曲を作るという感覚では全くないところが素晴らしいんです。
   それではプロとして失格かも知れませんが、その思い入れが私達を圧倒するの
   ではないでしょうか。時代時代の世間の流行りモノとは常に別次元のイメージで
   作られているから、戦前の歌謡曲みたいであったり、時代を超えて古くならない
   良さがあったりもしますが、それらは全て結果としての副産物。
    このアルバム自体が宮川先生のザ・ピーナッツに注いだ「愛情の証」でしょう。
   そこには傑作、駄作の区別はありません。これはラブレターと同質のものです。
   是非、一行も読み飛ばさずに読んであげて下さい。
   「ザ・ピーナッツ sings 宮川泰」の姉妹編。最新のCDアルバム。
   <ザ・ピーナッツ育ての親>宮川泰がザ・ピーナッツのために編曲した名作を初めて
   大集成!……というコピーが書かれています。
   大集成という言葉は嘘ではありません。が、集大成と書いてしまうと嘘になります。
   もしも集大成版を作ったらCD15枚になりますから、あくまでハイライト版です。
   また、最優秀の40曲を集めたというものでもないと(個人的感覚では)思います。
   このCDは年代を順に追って宮川さんのアレンジの進化とか変遷が味わえるのです。
   宮川泰さんの作曲作品はザ・ピーナッツ以外にも提供されており、それの傑作集。
   しかし、一部の例外を除いて、キングレコード専属歌手が歌うものが殆どなので、
   オリジナル歌手ではない場合は残念な面もある。
   でも、このようなアルバムを購う人は、既にオリジナル版を所有しているであろう。
   そういうことを踏まえると面白い面もある。
   例えば、これとは別に園まりさんのベストアルバム程度は必須だろうなと思える。
   本来なら、全作曲作品コンプリート版も欲しいところだが、営業上は無理でしょう。
   宮川泰さんの大ファンでもないのだが、てっとり早く一枚物で楽しみたい、という
   ニーズにぴったりなのが、このCD。
   実に巧みにツボを押さえていて見事なまでのセンスであるし、ちょっと得難い面も
   あるので大ファンが他に持っているという場合にも買い逃せない曲者でもあります。
   恋のバカンスで開幕して、宇宙戦艦ヤマトが続くんだから、凄いノリになりますよ。
   だから結局、み〜んな、これ、買うハメになるんでしょうねえ。
   このCDは宮川泰さんだけではなく、宮川ファミリー総出演という嬉しいアルバム。
   とにかく聴いて、眺めて、ほんわかと楽しくなる、そんな一枚なんです。
   宮川泰さんは、音楽が宮川風というだけでなく、生き方も家族も宮川風なんですね。
   ブックレットがこんなに面白く読めるアルバムも珍しいと思います。
   とにかくサービス精神に溢れていて、宮川DNA?の真髄はここにあると思います。
   これを聴けば、心癒され、ハッピーになること請け合いますよ。
   宮川泰さんと言えば「宇宙戦艦ヤマト」と反射的に思い浮かべる人も多いようです。
   歌謡曲やポップスの歌ものはど〜も苦手という方が実際にいらっしゃるようなんです。
   そこで、歌のない宮川サウンドの決定版はこれだ、というのを挙げておきました。
   勿論、このアルバム以外にも、それはそれは沢山の宇宙戦艦ヤマトものがあります。
   しかし、内容的には、これが最高だったのではないでしょうか?
   1977年の録音ですが、古さは微塵も感じられません。
   フル・オーケストラの豪華なシンフォニック・サウンドをご堪能ください。

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