昭和39年8月23日放映のシャボン玉ホリデー「楽器で遊ぼう ピーナッツ」では、
鈴木章治と安田伸のソリ・クラリネットをフィーチャーして有名な「鈴懸の径」を
歌っています。
佐伯孝夫 作詞 灰田有紀彦 作曲
♪友と語らん 鈴懸の径
通いなれたる 学校(まなびや)の街
やさしの小鈴 葉かげに鳴れば
夢はかえるよ 鈴懸の径
この「鈴懸の径」は、昭和17年に発表されました。
鈴懸とはプラタナスのこと。
これはずっと後年のキャンパス・フォークの先駆者か?
もともとは、ワルツ(三拍子)の歌です。
歌った灰田勝彦さんは、作曲の有紀彦さんの弟さんです。
どのくらい流行ったのか、まだ私が生まれていないのでわかりません。
後ろの方の画像を見てほしいのですが、これは鈴木章治の「鈴懸の径」のLP盤。
ザ・ピーナッツがデビューする2年前にジャズのアレンジで大ヒットしました。
もはや、スタンダードとも思える昭和の歴史に燦然と輝く名演奏です。
鈴木章治さん自身も何度か再録音しておりますが。なんといっても最初の録音が
歴史的銘盤であることは間違いない事実でしょう。
ただし、時代が時代ですし、放送用音源なので、モノラル録音です。
クラリネットの名手、ピーナッツ・ハッコーさんとの共演で実現した演奏ですが、
アレンジには、ピーナッツ・ハッコーさんのアイディアが入っているようです。
ジャズといえばアドリブということに相場が決まっていますが、私は、この演奏の
素晴らしさは、アレンジじゃないかと思います。
誰が何時聴いても、このアレンジは凄い閃きに満ちていると思います。
時代を超えて素晴らしいです。
アドリブより、アレンジだと書いたのは、そのアレンジ部分がザ・ピーナッツの
歌でも、そのまま引用されているから、いいところのハイライトという感じです。
鈴懸の径は、こういう曲だと信じて頂いて間違いありません。
スタンダード・カバーでは、他の歌手は芸能としての自らの持ち味を表出しますが
ザ・ピーナッツは原曲とアレンジの良さをそのまま率直に示す歌唱です。
このままレコーディングしちゃっても全然OK。いつもそれだけ凄いんです。
ですが、レコードがあるわけではありません。
何が因縁なのでしょう。
それは、ザ・ピーナッツ・ファンならピンとこなくてはダメ。
奇しくも同じお名前の、ピーナッツ・ハッコーさんであり、デビュー曲の可愛い花の
原曲「小さな花」の演奏ではご本家。レコードは色々あってもこれが本命盤。
そして、クラリネットの2重奏というこれもピーナッツ風ではありませんか。
そんなわけで、2重3重にも絵になるシャボン玉ホリデーの名場面なのでした。
(2006.01.26記)