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♪モスコーの夜は更けて    1962.6.10
 MIDNIGHT IN MOSCOW
   作詞:Mikhail Lvovich Matusovosky 
   作曲:Sedoj Solovev
   訳詞:音羽たかし 編曲:宮川 泰
   演奏:アンサンブル・レオン
      コーラス:ブライト・リズム・ボーイズ
   録音:1962.05.
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★ ★★★★ ★★★★

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この歌はロシア民謡のような感覚なのですが、そんなに
古くはなくて、1955年(昭和30年)に生まれております。
ザ・ピーナッツが歌ったのはデキシー風にアレンジされた
ケニーボールと彼のジャズメンの演奏盤が大ヒットして、
そのカバーとしてレコーディングしたものです。
しかしデキシー風ではなく、先祖返りしたようなしみじみ
とした曲調で歌っています。

この歌の先祖は「モスクワ郊外の夕べ」として歌声喫茶で
既に歌われており、リバイバルと言ってもいいでしょう。
英題はMoscow Nights だからモスクワの夜なので、郊外は
雰囲気付けでしょう。
ケニーボールのデキシー風演奏の題名はMidnight In Moscow。
深夜のモスクワですが、お祭り騒ぎ風であって哀愁感もあり、
本当に素晴らしい演奏です。YouTubeでも聴けます。

新しい題名の「モスコーの夜は更けて」ですが、先行した
大ヒット曲「ワシントン広場の夜は更けて」にあやかって
タイトルのお色直しを行ったと思われます。
そのソースは何処に、なんて堅苦しいこと言わないでね。
そんな堅実な取材など私は行いません。無責任一代男です。
いい加減なことを書くときは、思います、感じます、と
ちゃんと書き足していますので個人の思い、感覚です。
幸いクレームは来ておりません。(笑)

こちらのページも参照して下さい。
http://peanuts2.sakura.ne.jp/omotya/mookduck.html

こんなこと書いておりますね。
 注目すべきは、この「モスクワ郊外の夕べ」という曲です。___
 譜面の通りに歌ってみましょう。
 あらら……これって「モスコーの夜は更けて」じゃないですか!
 「銀色の道」が競作(共作かも)でありましたが、こんなところにもノノ。
 種明かしですが。実はね。ザ・ピーナッツの「モスコーの夜は更けて」は、
 ケニーボールと彼のジャズメンの演奏でヒットした曲のカバーなんですが、
 デキシー調から一転、いわば先祖返りをしたかのような宮川アレンジです。
 で……元来の御先祖ソングが、その2年も前にダークダックスが歌ってた。
 と、まあ、こういうわけです。
 ロシア民謡だからリバイヴァルというわけじゃないけど。
 ダークダックスの歌曲の取材能力というものは大したもんだったんですね。

あれあれ……ロシア民謡だなんて書いちゃってる。
「でも私のせいじゃないのよ(おい、歌が違うだろう)」
このムック本の記事にロシア民謡と印刷されてるんだもん。

ところで、この歌なんですが、このシングル盤両面共にあまり好みとは
言えないのです。どこか陰鬱で清々しい気分になれない。
世の中には陰気でも名曲なのは数多くあり、むしろ陽気な有名曲よりも
多いのかもしれないが、ベートーベンの運命やらチャイコフスキーの
悲愴はそうそう年中繰り返し聴くようなもんじゃなく愛好曲といった
範疇とは別のもので好きじゃないが凄さに感服するという感覚だろう。

ヒットしたケニーボールのジャズ編曲のままじゃ歌の形にならないし
新たにレコードを出すからには新しい味付けのアレンジにしなければ。
そこで如何にもロシア風情を醸し出す寒々しい厳しい伴奏になってる。
雪がシンシンと降り積もってる雰囲気だ。
雪が積もると音が吸収され無音の静寂の世界となる。
漫画では、シーンという擬音(オノマトペ)が使われるが歌舞伎でも
雪が降ってることを音で表現している。日本人特有の感性なのかも?
大太鼓をソフトなバチでドンドンドンと深い低音で鳴らすのである。
これに近い感覚が宮川アレンジにあるように私は感じる。
ズンズンズンズンズンズンズンヒューって吹雪に聴こえるんです。
はい、あくまで個人の感想です。(サプリメントのCMかよ)

(2018.2.17起稿)