音ってなんだろう?

オーディオを趣味にするというのは、やっぱり「音」にこだわりたいからです。
だから「音」の正体をある程度はわかっていた方が良いと思います。
わかっているようで、意外な性質を持っていたり、なかなか興味深いものです。
  そこで、音そのものについて、まず述べてみようと思うのですが、このような話の
  参考書類は過去も現在もかなり多く出されており、正確な学問のレベルであるならば
  そちらを参考になさるのが良いと思います。
  でも、私は私が過去に得た知識を基にして自分の言葉で自分の感覚で書きたいのです。
  だから、恐らく間違いに近いような箇所も出てくるかも知れません。
  あまりに基本からずれているような箇所がございましたらご一報下さい。

1. 音とは

  音は空気の振動です。
  空気を介さない音もありますが、それは一旦棚の上へ置いて話を進めます。
  空気の振動は空気の疎密です。疎密とは低気圧と高気圧の繰り返しです。


  1ヘルツ(昔はサイクルと言いました)は、1秒間に1周期の気圧の変動が
  あるということです。
  1ヘルツの波長の長さは、なんと、340メートルです。(気温で微増減あり)
  こうなると感覚的にも気圧の波というイメージに近くなります。
  20ヘルツの音では、17メートルとなります。
  普通のご家庭でスピーカーの位置からこれだけの空間があるという場合は稀で、
  ですから、ここまでの低音再生性能は要らないな〜ということがわかります。
  5メートルとしたら、68ヘルツまでが正しいうねりの波形になる限界なんですが、
  気圧は部屋から抜けますし、反射もしますから折り返しの再生は可能です。

  人間が音を音として聴きとれるのは、20〜2万ヘルツくらいが限界でしょう。
  これは単独音でも、という前提です。個人差もあり、2万までは殆ど無理です。
  聴力検査では、1万ヘルツまでしか測定しない筈です。そこまで聞こえれば健康であり、
  生活に特に支障がないからです。(あなたがコウモリだと話は別ですが)
  ただし、年齢とともに高い音が聴こえにくくなってきます。
  ところが九十歳を過ぎた指揮者でも僅かな楽器の音色を聞分けたりが出来ます。
  そして、これが以後も大きなテーマともなってくるのですが、2万ヘルツまでしか
  聞こえない筈の人間が、2万ヘルツまでしか入っていないCDの音に不満を感じ、
  新規格のSACDやDVDオーディオを登場させる引き金になりました。
  古い規格であるアナログ・レコードに比べ、音の強弱では圧倒的に優れているものの
  音の高低の収容範囲では低音域は凄いのだが、高音域は超高音の聞こえない部分が
  脱落してしまうのです。
  そうはいっても、元々ほんの僅かの音しか入ってはいないし、すべてのレコードがそれ程の
  超高音まで入っているのかというと、そうではなくて、2万ヘルツなんかは、あえてわざと
  フィルターで落としているケースが多いのですが、アナログのフィルターなのでスパッと
  切れずに微細なレベルでうんと高い音まで「消せずに」残っているということです。
  この消せなかったことが、逆に自然な感じがするといわれる所以でしょうか??

  

  ここが非常に興味深いところです。
  2万ヘルツ以上の音が入っているか否かの違いを聞き分けてしまうということです。
  その違い部分だけを単独では聴くことが出来なくても入っていることが判るのです。

  上の図はある優秀録音の周波数特性というものの図表なのですが、見なれないと何だか
  意味がわかりません。特に縦軸と横軸の意味と単位がわかりにくいと思います。
  縦軸は音の強さでdB(デシベル)という単位です。何ホンとかいうあれと親戚です。
  実は、ホン、フォン、デシベルは同じ意味ではなくて、厳密に言うと定義が違います。
  しかし同じ意味として考えても、音響関係の仕事をしないなら問題ありません。
  比例関係というのが同じなので、音の大きさを考えるのには支障はないはずです。

  人間の聴こえる感覚というものは実際の物理的なエネルギー量の変化と等しくありません。
  20フォン(デシベル表現でも同じ)の差というのは、100倍や百分の一となります。
  普通のエネルギーを表す単位を使って比例等級数値(1、2、3などの等間隔)では
  人間の感覚とあまりにも差がありすぎるので、このような幾何級数配列を使うのです。
  学校で習ったlogとかいう難しいやつです。

  ファンタジアやオーケストラの少女でお馴染みのレオポルド・ストコフスキーさんは、
  大変に面白いことを実証と実践で提案しました。(この方は新しい試みが大好き)
  楽譜に書かれたオーケストラ用の強弱記号を大真面目に「フォン」で表したのです。
   ppp=20フォン pp=40フォン p=55フォン
   mf=65フォン f=75フォン ff=85フォン fff=95フォン
  この標準化で類推すれば、無指定は60フォンなのかしら???
  これはほんの参考ですから、このまま信じるようなものではありません。

  先ほどの図では、縦軸の一つの目盛りが「10デシベル」です。
  一番上と一番下の幅は90フォンもありますから、凄い録音だな〜と言えますね。
  グラフは実際の演奏なので、ギザギザを伴って高音に向かう程なだらかに音のエネルギーは
  少なくなって行きます。音楽の録音というものは大体がこういう傾向なのです。
  低い音から高い音へ平均したエネルギーで音が存在するわけではありません。
  (そんなことをしたら、音響機材が壊れるし、耳を痛めてしまいます)
  アナログレコードでは、70デシベル、CDでは96デシベル位が収められるそうです。
  一般家庭で聴く分にはまあどっちでも十分な値だと思いますが、SACDともなると
  140以上もあるので、想像を絶する値です。

2. 高音と低音

  高い音というのと、大きい音というのはもちろん意味が違います。
  ところが「し〜っ、声が高いよ」とか言いますね。高いのじゃなくて「声が大きいよ」の
  筈なのですが、それでも言わんとしている意味は通じています。
  これは、どうしてなのかな、と自分なりの解釈をしてみました。

  ふつうに高い音と呼ばれるのは、千ヘルツから8千ヘルツあたりではないかと思います。
  この辺は人間の耳の感覚が鋭いところなんだと言われます。
  耳障りな音というのは、ガラスをキーキー引っ掻くような音だし、赤ちゃんがギャーと
  泣く声だと思うのです。この近辺の音に敏感でなければならないような動物としての遺伝が
  必要だったからだと思うのです。(仮説です。根拠なしです)
  それで、よく聴こえてしまうような高い声でしゃべるな、という意味でもあると思います。
  小さい声でしゃべろうと思うと自然にやや低音でひそひそと話します。

  

  この図は人間の耳の聞こえ方の「クセ」を表しています。
  ISOの国際規格で採用されている曲線です。
  実際の周波数(音の高低)毎の音の強さと人間が感じる音の強さには差があるんです。
  グレーの部分は聴こえない音の大きさの範囲です。
  低い音が小さな音で鳴っても聴きとれず、ある音の強さになってはじめて低音が認識出来る。
  しかし、一旦気づくほどの強さになると、そこからはむしろわずかの強さの変化が大きな強調に
  感じられるのです。これは、低い音は鼓膜以外の部分で聴きとっているからではないかしら。
  鼓膜は小さな面積しかなく、耳の穴の洞窟も狭く短いですから、低い音は共鳴しにくいのでは?

  周波数(Hz)が、1000ヘルツがオーディオの標準になっていますが、ちょうどそのあたりが
  「中音」と呼ばれる中心で、良く聴こえるのは700〜1万2千ヘルツというところでしょうか。
  中音から高音にかけてが聴き取りやすいのですが、うんと高音になると再び聴こえにくくなります。
  
  なお、ホン、フォン、デシベルは同じ意味ではなくて厳密に言うと定義が違いますと
  前述したことをやはり整理しておきますが、
  デシベルというのは絶対的な音の強さ(音圧)を表しているハード的な値です。
  フォンというのは、上のグラフのような人間の聴感感度で表した値で、より実感覚に
  近いので騒音のレベルなどで裁判でも使われる値です。
  ホンというのはもっと大まかな平均での単位でフォンと近いが、もう使われていません。

3. 楽器と音域

  さて、電子楽器以外の楽器の音域というのはどの位なのしょうか?
  こちらのサイトに綺麗な図解が載っておりました。
  http://www.nns.ne.jp/pri/asakawa/asa/fumen_read/on_iki.html
  メインの入口はこちらです。
  http://www.nns.ne.jp/pri/asakawa/asa/fumen_read/

  楽譜上の音域はわかりましたが、では、周波数で表現するとどうなるのでしょうか。

  

  音符として鳴る音が上の図でしたが、実際の楽器の音は鳴らそうとした音程の音以外にも
  自然に倍音成分とか、楽器自体の振動などの付帯音なども一緒に鳴るのです。
  

  調子とは無関係の響きも伴って。それらが全体でその楽器の音色を作っています。
  ですから書かれている音符よりも高い音が出てきますし、低い音も多少は出るのです。
  その鳴り方の様子を二次元的に図解したのが次の図です。

  

  こういうのは眺めているだけで楽しいですね。
  こんな風に色んな高さの音が同時に鳴るから、その楽器の音色が生まれるのです。
  楽器の音響面から、周波数の目安を言いますと。次のようになります。
  ■重低音域(超低音域) 16〜40ヘルツ
   ピアノ、ハープ、パイプオルガンなどの最低音や部屋の共鳴などの音域。
   なまじのステレオでは再生出来ない。一般家庭では周囲から苦情が出る。
  ■低音域 40〜160ヘルツ
   ドラム、ベース、オルガン、ギター、弦楽器の低音域にあたり、音楽を支える土台と
   なる音域。ここの音が汚いと、高音までが綺麗に聴こえない。
  ■中低音域 160〜320ヘルツ
   金管楽器、木管楽器の低音域にあたる音域。
  ■中音域 320〜2600ヘルツ
   ほとんどの楽器の音が密集する中心的な音域。
  ■中高音域 2600〜5000ヘルツ
   耳が最も敏感に感じる帯域で、音の透明度や音像の低位感、聴感上の音量などを
   大きく左右する音域。
  ■高音域 5000〜1万ヘルツ
   楽器音の倍音成分により輝きを与え、その楽器らしさを表現する音域。
  ■超高音域 1万ヘルツ以上
   臨場感や気配のような感覚、生々しさなどを伝える音域。

3. 音の立ち上がりと減衰

  楽器の音というのは先ほどのような周波数だけで表せるものではありません。
  楽器それぞれに奏者が音を出すアクションをしてから直ぐに音が立ち上がるものと
  緩やかに立ち上がるものがあります。
  例を図示したいのですが、そっくりそのままで出版物から転載するのはまずいので
  行えません。今までに使ってきた図はエッセンスだけをお借りしたものです。
  しかしながら、シンバルとフルートではその鳴り方が音色だけじゃなくて急激な
  瞬発音とふわっと出てくるその違いは図がなくとも理解出来ると思います。

  一方、音の立ち下がりといいますか減衰の仕方も楽器それぞれに特徴があることも
  感覚的にもわかると思います。
  大体が良く共鳴して鳴り響くのが楽器ですから、なかなか音は小さくなりません。
  ですから奏法で抑制したりもしますが、それでも楽器特有のクセはあります。

  面白いことにオーディオでのスピーカーにも、このようなクセが伴います。
  伴わないように作るつもりなのですが、あまりにもクセがないとつまらない音で
  あったりもし、楽器風に作るか、技術偏重か、難しいところです。

4. 音の広がり方

  楽器それぞれに音の拡散のクセがあります。
  これは一々説明までしなくても楽器を見れば、その楽器の何処から音が出ていて、
  どんな風に聴く人へと伝わってくるのかがわかります。
  管楽器を例にとれば、
  トランペット類は朝顔の花状の正面から音が出ます(全部ではないが主に)。
  ところがチューバなんてのは上を向いています。
  これが音の広がり方の特徴をよく表しています。
  
  高い音(波長が細かい)に向かうほど直進性(指向性)を強く出来る。
  低い音(波長が大きい)に向かうほど勝手に拡散してしまう。
  言い換えると低い音は何処から聴こえてくるのかわかりにくいのです。

  いいや、そんなはずはない。
  コントラバスだって、何処から聴こえてるなんてことは誰にでもわかる。
  そういう反論はもっともですが、それはコントラバスといえども結構な高音の音を
  同時に引きずっているからで、これはテインパニーなんかでも一緒なんです。
  わりと、例に上げると理解しやすいのはパイプオルガンのう〜んと低い音階です。
  これはおそらく目を閉じていたら、どのあたりだかわかりにくいでしょうね。

5.位相(フェーズ)

  このあたりの言葉になると一般的には耳にしない専門用語です。
  周波数の単位が昔はサイクルだったと前述しましたが、その表現の方が位相という
  言葉を感覚的に捉えるにはうってつけでした。
  一番最初に使った図は円周を回る点を横から眺めたのと同じ軌跡を描いてるんです。
  だから、あたかも円運動と同じようでもあるわけです。
  円であれば、点がどこの位置にあるかを表現出来ます、これが位相です。

  

  音は、低気圧と高気圧の疎密波であると書きましたが、気圧とはいっても極めて小さい
  圧力差しかありません。高低の差は、0.000..ヘクトパスカルといった小さな値です。
  それでも差は差です。0度の位置の気圧と180度の位置の気圧は混ぜると相殺されます。
  これを確かめるには、ステレオのスピーカーの左右どちらかの結線をプラスとマイナスを
  逆に繋いでみるとすぐにわかります。左右の音が打ち消し合って出なくなる音があります。

  それは低い音にてきめんに顕われます。早い話が低音が出なくなります。
  高い音は波長が短いので、左右の波長が逆でも殆ど影響されませんが、低い音は振幅が
  ゆっくりなので、左右のスピーカーからそれぞれ出た音が凸凹が逆なので平坦になり、
  低音がなくなるのです。完全になくなるわけではありませんが、これを逆相といいます。

  そんな繋ぎ方をするわけがないのだから位相なんか関係がないのでは、と言ってしまえば、
  確かに聴くだけの立場では、その知識があったところで意味がありません。
  それでも、アンプの中ではこの位相の性質を使った色々な回路があり、スピーカー付随の
  ネットワーク(音の電流信号を各スピーカーの得意分野に振り分ける配線部分)の中でも
  色々と変化が起きているのです。
  これも大変に面白い分野で、国際的にも有名なオーディオの一流ブランドにアキュフェーズ
  という企業がありますが、アキュレイト(正確)なフェーズ(位相)が語源なのですから、
  如何に位相というものが重要かがわかると思います。

  録音技巧などであまりにも音をいじくりまわしたり、沢山のトラックからの合成を行うと
  この位相はかなり乱れてしまうことになり、自然さが失われますが、それがまた一方では
  特殊なサウンド効果も得られるので、最終的には音楽面では録音技師のセンスの問題であり、
  オーディオ装置では、そういう加工は邪道ですが、スピーカーについては特例でノウハウが
  あるようです。

6. 反響、残響、音の揺れ、共鳴

  反響とは音のはね返りです。
  音楽ホールでは波形とか菱形とか色々な反射板を使ってホールの良い音を作っています。
  BOSEというカラオケのお店に良く使われているスピーカーはボーズ博士の名前を
  とったものですが、この人の音響理論というのは、コンサートホールで聴こえる音の
  9割は反響音であるということを基にスピーカーもその理屈で作ったら良いのである、
  ということから設計した製品もあり、もう30年くらいたっているけどまだ現役。
  このスピーカーは前に一個、後ろ側に7個のスピーカーという大変にユニークな構造。
  これがレコード再生の正しいあり方かどうかは疑問ですが、まあ素晴らしい音です。

  残響とはお馴染みのエコーです。
  残響は音の聞こえ方で物凄く重要な要素であると思います。ただし、演奏会や録音の側の
  話であって、再生装置で行うのは邪道です。
  元々残響の無いシンセサイザーでは如何にこれを自然にまたは意図したように付加させて、
  また、他の楽器との残響との複合をどう扱うかなど複雑怪奇なのだと推察します。
  残響は音に潤いや神秘性を与えるだけではなくて音の場の立体感も生成されるので扱いを
  誤るともやもやした気持ちの悪い音にもなる諸刃の刃でありましょう。

  音の揺れは演奏でいうヴイヴラートです。
  声が美しいな〜と感じる歌手は声の揺らし方の名手であったりもします。
  心をこめて弾けよ〜と指揮者が手ぶりで示すのは左手で、弦楽器に思いきりヴィヴラートを
  かけなさいと指示していると思われます。
  カラオケなんかでもリバーブというのがあるし、エレキギターのアンプだって必需品。
  シンセサイザーでも、これをどう使うかはそれで表現する楽器演奏の技術的背景の勉強と、
  新しい管弦楽法の創出。さらに演奏者の気持ちにならなきゃダメでしょう。
  だけど、美しさを出す為に揺らすのに音を汚してしまうような装置ではダメな筈です。
  当然、プロフェッショナルの世界では大変な投資をする部分かも知れません。
  もちろん、再生側で付加するようなものじゃありません。

  共鳴は学校で実験したとおりです。
  これは家の中でもあちこちで起きていますし、それを利用したスピーカーもあります。
  楽器はもう殆どがこれで音を大きく美しくしてるんです。
  日光でしたっけ、鳴竜というのがありましたね。あれは定在波という現象で、共鳴とは
  違うのかも知れませんが、天井と床とが並行だと特定の音波が反射し続けるんです。
  あれは高い音ですが、家庭では壁と壁とで低い音が強調されます。
  まあ、ふつうは家具が適当に吸収しますが、ソファの位置等変えると音も変わります。

7. 防音、遮音

  音楽を聴くのに一番大切なのは本当はこれなんです。
  出来るだけ静かな場所で聴かなくては、どんな高級オーディオ製品を買ってもダメです。
  しかし、人里離れた区域とか、車騒音、商店、工場のないところは現実に仕事をして
  生活している私達にとっては実現は難しいところです。無音の贅沢が出来ないのです。
  騒音の環境基準値というものが決められています。(1999年改正)
  それによると、住宅地の室内で、昼間は55デシベル以下、夜は45デシベル以下です。
  これは結構大きな騒音までもがしょうがないですねえ、というレベルなのです。

  例えば、家でステレオを鳴らすとき、ピーク(音楽のフォルティシモ)の音量を90フォンと
  すると仮にします。すると、昼間は55フォンの騒音がしているわけなので、実際に雑音に
  埋もれずにちゃんと聞こえる範囲というのは「たったの45デシベル」しかないのです。
  こんな状態で、アナログレコードは70デシベルしかダイナミックスがとれないからダメで、
  CDの方が良く、SACDはもっと良い、なんて、どうしてわかるの? 言えるの?

  生活面での騒音のレベルを見てみましょう。

騒音のレベル
(ホン)
生活騒音の例 感じ方
0
10
20
聞こえる限界
呼吸の音
ささやき
きわめて静か
30
40
深夜の郊外 静か
聞き取れる(レベル静かな住宅内部でのラジオ)
静か
50
60
静かな事務所内部
時速40Kmで走っている自動車内部
日常生活で
望ましい範囲
70
80
タイプライターなどの軽作業
地下鉄駅構内、楽器演奏(ピアノなど)
うるさい
90
100
騒々しい工場内部 オーディオ
電車が通るときのガード下
極めてうるさい
110
120
130
140
自動車のクラクションの直前
飛行機のプロペラエンジンの直前
肉体的に苦痛を感じる限界
ジェットエンジンのフ近く
聴力機能に
障害をきたす

  こうしてみるとアナログレコードの70デシベル(実際にはもっと狭いと思うが)でも
  十分ではないかという気もします。
  SACDの140デシベル以上という設計性能は、聞こえる限界のごく小さな音から
  ジェットエンジンそばの轟音までという範囲ですから入っていても聴けないでしょう。

  木造一戸建てに住んでいた頃は、夜8時以降が素晴らしい音になるゴールデンタイムでした。
  マンションは遮音性がいいので、閉めてしまえば静かにはなるのですが、気のせいなのか
  聴こえない低い音が絶えずしているような気もして、木造の家が懐かしいです。
  木で作った家というのはなんとなくいい音がしたような気もします。

  小さな音が埋もれてしまわないように結構大きな音で聴くのですが、そうすると家人が
  なんでそんなに大きな音で鳴らさないと気がすまないの? と言われます。
  音楽にもよりますが、私はなにも生演奏を再現しようなどとは夢にも思いませんけども
  囁くような小さな美音というものは、レベルを高くしておかないと聴こえないのです。

  しかし、隣人にとっては、こちらが騒音の元ですから、気になります。
  下のお宅と、両隣りには、うるさくないでしょうか? と、きいてみますが、全然ですよ、
  と言ってくれてます。そういえば両隣りともにピアノを弾くのですが、壁が厚いせいか、
  テレビなど見ていれば気になりません。
  ピアノ殺人、オーディオ殺人は遮音と、隣人への謝恩で防げるようです。

8. 良い音、悪い音

  音について、物理的に音の発生する側から書いてきましたが、考えてみますと音と
  いうものは我々が聴いて初めて音が認知されて存在出来るという面もあると思います。
  「我聴く、故に音あり」です。(笑)
  そうなると人間の耳の形や聞こえ方にも個性があって当然じゃないかとも思います。
  味に好みがあるように音にも好き嫌いがあるとも思います。
  だから、同じ音を聴いても、良い音だ、と思う人と、嫌な音だという人もいるという
  ケースだってあると思います。
  しかし、自然界の音は分け隔てなく聴いているので、どこかに普遍性というものもあり、
  一方で地域の文化として根付いた「良い音」があるのかも知れません。

  おそらく、音響心理学とかいう専門的な学問分野があって、このような話題については
  膨大な書簡が存在すると思われます。
  
  如何に測定技術が革命的に進み、工業技術が進歩しても、バイオリンの銘器であるあの
  ストラディバリウスを上回る楽器をなかなか作れないようです。
  それだけ、単に「音」といっても「奥深く」「幅広い」大変なテーマなのだと思います。
  ですから、これを扱うオーディオについても、話題は尽きないといっても過言ではなく、
  色々な切り口で語れると思います。

  以後、私なりの思いを色々と語って行きたいと思います。

  つづく....             (2003.3.24記)

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